愛犬が理由も分からずに無駄吠えすることで、ご近所に対して肩身が狭い・・・苦情を言われてしまう・・・そんな悩みをお持ちの方が多いですね。
子犬のうちになんとか無駄吠えをしつけ直そうとしたけれど、うまくいかないままに成犬になってしまい、もうしつけ直すことをあきらめてしまったという方が多いのではないでしょうか。
成犬になってしまうと、無駄吠えのしつけ直しはできないのでしょうか?
そういうことはありません。
愛犬が吠えるのは何か理由があります。
その理由、原因を取り除き、飼い主さんがしっかりした態度で根気よくしつけ直しをすれば、何歳になった犬でも無駄吠えをやめさせることは可能です。
犬が吠える原因をよく考えた上で、愛犬に当てはまるかどうかをチェックし、無駄吠えのしつけ直しをやり直してみられませんか?
犬が無駄吠えする8つの理由
犬が無駄吠えをする理由はいくつかに大きく分けられます。
そもそも「無駄吠え」という意味では、犬は無駄に吠えているわけではありません。
犬も吠え続けると体力を使いますしストレスもたまるため、無意味なことを繰り返しているわけではありません。
犬は吠えるということで言葉を発して、何かを訴えているだけです。
ただ周りの人には迷惑になることがありますし、飼い主さんでなければやめさせることはできませんね。
それがどういう理由から吠えているのかを聞き分けて対処することで、いわゆる「無駄吠え」のしつけ直しができる犬がほとんどです。
かまってほしいなどの要求、何かをしてほしい欲求で吠える
サークルに閉じ込めっぱなしで遊んでもらえなかったり、吠えたときに望みどおりサークルから出してもらった経験がある犬に見られるケースです。
また飼い主さんが他のことに気を取られている場合に、自分のほうを見てほしいという気持ちを表す場合が、この「要求吠え」です。
「かまってほしい」「出してほしい」「遊んでほしい」という気持ちが強いときに、要求吠えをします。
犬が吠えたときに犬の言いなりになってしまうことを繰り返している場合にも、この要求吠えはひどくなっていきます。
ただの甘えた要求ではないときもあります。
空腹や喉の渇きという自然な欲求を訴えているときもあります。
こういった理由で吠える犬が多いようですね。
飼い主さんの姿が見えないことでの分離不安で吠える
犬は本来群れで生きる動物なので、単独で過ごすことに慣れていません。
そういった理由もあり、犬は飼い主さんと一緒にいるのが大好きです。
飼い主さんにさえあまりかまわれたくないクールな犬もいますが、それでも同じ空間に飼い主さんがいないとやっぱり落ち着かないという習性を持つ犬がほとんどです。
日頃飼い主さんとべったりの、密着度が高い犬に多い無駄吠えです。
また自分のテリトリーであるサークルで留守番をするのではなく、リビングや飼い主さんの個室で放し飼いで留守番をすることで、広い空間に不安を持つために分離不安が大きくなる場合があります。
誰かが来たり音がして怖い・・・恐怖心が原因で吠える
来客やドアベル、電話や雷といった、普段とは違う「侵入者」に対して吠えることは多いですね。
これは恐怖から吠えていることがほとんどです。
来客や他の犬は自分にどんな怖いことをするか分からない存在です。
ドアベルや雷という不意打ちの音にも、犬は驚きます。
そういった音がテレビから聞こえても過剰反応する犬もいますね。
他の犬に対して吠える場合は別の理由もありますが、腰が引けて尻尾が下がっているなど怯えて吠えている場合は、恐怖心からです。
ここは自分のテリトリー!縄張り意識で吠える
他の誰か、または他の犬が来たときに、恐怖からでなく追い出そうとして威嚇して吠えているときには、自分の縄張りを守ろうとしています。
吠えることで縄張りへの侵入者を追い出そうとしているので、来客や宅配業者などに吠え掛かることが多く、その人が帰ると自分は家という縄張りを守るいい仕事をしたと思いこみます。
来客が少ない家で飼われている犬や、もともと飼い主以外の他人への警戒心が強い犬種、他の人や犬との接触が少ない犬に多い吠え方ですね。
病気や怪我を訴える・・・痛くて吠える
犬は痛みに強い生き物で我慢しやすい傾向がありますが、痛みの限度を超えると飼い主さんに訴えるために吠えて知らせようとします。
怪我の場合は分かりやすいですが、病気の場合は分かりにくい場合があります。
普段吠えない犬が何かを訴えるように吠え始めたときには、こういった体調異常の可能性があります。
投薬の影響も、糖質コルチコイド投薬で吠える
副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの投薬で、犬の無駄吠えが増えたという報告例があります。
これはこの投薬に対してすべての犬に表れたということではありませんが、投薬を受けて犬が吠え始めた場合にはそれが理由かもしれません。
老化で分からなくなる、認知症によって吠える
犬は7歳からシニア犬に入ります。
小型犬から大型犬によって年齢差はあり、大型犬ほど早い傾向がありますが、認知症になる犬も出てきます。
認知症の症状のひとつに無駄吠えがあります。
この場合今までできていたことができなくなったり、飼い主さんを認識しなくなったり、無駄吠え以外にわかりやすい症状が見つかることもあります。
仲間と一緒に!社会的促進で吠える
犬は先祖であるオオカミの血を引いています。
オオカミは一頭が遠吠えをしたら他の仲間も続くという特徴がありますが、犬にもそれが引き継がれています。
近所の犬が吠えたら、愛犬も吠え始めた、またはその逆という経験はありませんか?
多頭飼いにも多いのが、一頭が吠えたら家中の犬が吠えてしまって困るというのが、このケース、社会的促進です。
社会的促進というのは、他の個体の反応を見て、同じパターンを自分も身につけることを言いますが、それを踏まえて犬も「右にならえ」で吠えてしまうのです。
犬の無駄吠え理由別の対処法8つ
要求による無駄吠えのしつけ方
まず愛犬が水などを欲しいと訴えているときには、それを満たしてあげましょう。
またコミュニケーションをとりたいと思っているときに、必要以上に無視することはあまりよくありません。
吠えるたびにかまっていると「吠えると遊んでくれる」と思ってしまいますが、コミュニケーションを全くとってもらえない犬が、コミュニケーション不足を訴えて吠えることを叱ることは、いい関係が築けているとはいえませんね。
しっかり良い関係を築いて、飼い主さんがいつでも自分を満たしてくれる人だと、愛犬に理解させるように努めてください。
かまってほしい、という無駄吠えは、愛犬の「目の前にいるのにどうして遊んでくれないの」という寂しい気持ちを表しています。
可能なときにはしっかり愛情をかけて遊んであげて、終わるときには終わって吠えても相手にしない、というしつけを繰り返しましょう。
分離不安による無駄吠えのしつけ方
飼い主さんが出かけるときに後ろ髪をひかれて、行ったり来たりしては駄目です。
また出かける直前には声をかけないほうがいいでしょう。
「行ってきます」は出かける支度の時に、今日も絶対に出かけると愛犬に理解させるためのほうがまだ良い場合があります。
またひとりで留守番させる時間に慣らしていきましょう。
ご家族がいるなら、まずご家族に一緒にいてもらい、そのご家族も少しの間外出する、その外出時間を延ばしていくという練習です。
そして犬は広い空間に放置されているほうが不安に思います。
できればサークルに入れて危険のないおもちゃや、使い慣れた毛布などを与えて不安を軽減させてください。
恐怖心による無駄吠えのしつけ方
まず愛犬が何に怖がっているかで変わってきます。
散歩中や来客時に、他の人や犬を怖がる場合は、その人と親しく話している姿や、犬を可愛がる姿を見せて落ち着かせましょう。
ドアベルや雷など特定の音を怖がる場合には、その音を絞った音量から繰り返し聞かせて慣らしていくのが良い方法です。
録音したりアプリなどを使うといいですね。
どの対象にも「怖い」と思いこんで慣れないから吠えてしまいます。
怖くないことを理解し、慣れてしまえば吠えなくなります。
見慣れない人や聞きなれない音に吠えなくなったら、十分にほめて安心させてください。
恐怖で吠える犬は臆病な犬が多いからです。
縄張り意識による無駄吠えのしつけ方
縄張りを守るために吠えている場合、来客や宅配業者の人がいる限り、威嚇して吠えている犬が多いですね。
そしてその人が帰ったら吠え止めてしまう・・・この時に気をつけてほしいのは、吠えている犬を大声で叱らないことです。
それは犬にとって、飼い主さんからの大声での応援になってしまいます。
縄張り意識が激しい犬は、パーソナルエリアという「自分だけの空間」が狭いので、社会性を身につけさせましょう。
できるだけ外に出て多くの人や犬と接触を持つ機会を持たせてください。
外では自分の縄張りという意識が通用しませんから、このしつけは成犬でも可能です。
痛みによる無駄吠えのしつけ方
この場合は無駄吠えとはいい難いですね。
明らかに犬は飼い主さんに助けを求めて吠えています。
普段から愛犬の様子をしっかりチェックしておく習慣を身につけておいてください。
歩き方がおかしい、下痢や嘔吐がある、食欲がないなど少しでも異常があれば、受診してください。
投薬による無駄吠えのしつけ方
この場合は薬の影響なので、獣医さんへの相談をおすすめします。
飼い主さんや愛犬でなんとかできることではありません。
認知症による無駄吠えのしつけ方
犬も高齢化により認知症になる個体が増えています。
人間と同じように、周囲の認識があいまいになったり、不安や寂しさを感じることで無駄吠えが増えてきます。
この場合は飼い主さんがそばにいて、愛犬の不安や寂しさを和らげるようにしてください。
誰かがそばにいて、なでたり触れてやったりすることで、鳴いたり吠えたりということが抑えられるケースが多いようです。
社会的促進による無駄吠えのしつけ方
たとえば多頭飼いに多いこのケースですが、一頭が吠え始めると他の犬も吠えてしまいます。
その場合は一頭ずつ吠えないようにしつけましょう。
まず一頭に集中して何かの物音で吠えるなど、原因がはっきりしている場合はそれを取り除いてしつけます。
そして近所の犬につられて吠えるときも同様の方法をとります。
他の犬につられて吠えないよう、吠えそうになったら顔の前、鼻先にすっと手のひらを出して、「やめ」と短く制止します。
これには「マテ」などのしつけが根本的に必要ですが、「吠えるな!」と大声で叱るより飼い主さんの短い制止は、犬にとって比較的良い叱り方です。
飼い主さんの指示に従うよう基本的なしつけは必要
無駄吠えをやめさせるためのしつけ直しには、理由や原因に合わせてそれぞれの方法があります。
ただ基本は飼い主さんとうまく信頼関係が築けていること、「マテ」「スワレ」などの基本的なコマンド(指示)に従えることが大事です。
これができない場合は、まずそこから覚えさせてください。
無駄吠えのしつけで「マテ」と同じ制止をしなければならないからです。
大声で叱るのではなく、静かに「やめ」「マテ」と制止することが必要です。
こういった命令を覚えるのは、成犬でも問題ありません。
できていない愛犬には、まずそこから覚えさせてください。
まとめ
犬の無駄吠えには、理由があります。
中には空腹や喉の渇き、痛みを訴えている場合もあり、それをひとくくりに????りつけて無視するのでは解決になりません。
吠えている理由がわからなければ、それぞれ違ってくる対処ができないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
飼い主さんが大好きな犬は、成犬になっても無駄吠えをやめるしつけ直しについてきてくれます。
焦らずにゆっくり愛犬と向かい合ってください。