犬の生理はいつから?期間・周期や症状・対処法・気を付ける事など

犬の生理はヒートと呼ばれ、健康なメスが避妊をしていなければ起きる現象です。

人間以外の哺乳類では珍しく出血を伴うので、最初はびっくりしてしまうかもしれませんね。

犬の生理について、期間や周期、その時期にどんな症状が起きるか、どう対処すればいいかを解説しましょう。

犬の生理はいつからどんな周期で起きるか

メス犬は生後約6ヶ月から10ヶ月頃に、初めての生理が起きることが一般的です。

ただこれは個体差があるので、生後12ヶ月、つまり1歳を過ぎてから始まる犬もいます。

そして年に2回、大型犬では年に1~2回の周期で、人間とは違って生涯生理を繰り返すのです。

犬の生理と人間の生理の違い

人間は受精せず、子供ができなかったときに、子宮内膜が排出されるために生理が起きます。

つまり生理前後は妊娠しにくいという特徴があります。

犬は人間と逆で、排卵前に生理が起きるので、出血が始まると妊娠しやすくなります。

これを誤解していて人間と同じだと思っていると、愛犬に望まない妊娠をさせてしまうことがあるので、気をつけてください。

また犬には、人間のようにある程度の年齢での閉経というものがありません。

高齢になると出血量は少なくなってきますが、寿命がくるまでは卵巣機能が働いているので、生きている限り妊娠出産が可能です。

そのため避妊手術をしていない犬は、ずっと生理を繰り返すのです。

また生理中にイライラや体調不良が起きることはありますが、人間のように生理痛が起きるということはありません。

犬の生理サイクルとその症状|対処法も

犬の一度の生理期間は人間と違って長期です。

その間の症状や対処法を解説します。

犬の生理「発情前期」約10日間の症状と対処法

発情前期と呼ばれる時期は約10日間続きますが、この時期には陰部が貼れたように膨らみ、出血が始まります。

小型犬などは出血が少ないこともあり、舐めてしまう犬もいるので、生理が来たことに気づかないこともあります。

オシッコの回数が増えてソワソワと落ち着きがなくなり、メス犬でもマーキングをするようになります。

オシッコにフェロモンが含まれるようになるため、それに惹かれてオス犬が近づくようになります。

オス犬への配慮のためにも、愛犬のためにも、マナーパンツをつけるなどで対処をしましょう。

犬の生理「発情期」約10日の症状と対処法

一番妊娠しやすい発情期になると、出血量が少なくなります。

この時期はオス犬を受け入れる態勢に入ります。

発情期に入って2~3日で排卵が起きますが、その前後5日間が一番妊娠しやすい時期です。

もし愛犬の妊娠出産を望むなら、この時期を事前に計算して、交配の計画を立てておいてください。

望まない場合にはオス犬と近づけないよう、要注意の時期になります。

オス犬は交尾体制に入ると、挿入してロックをかけてしまいます。

これを人間が無理に引きはがそうとすると、大けがをしてしまいます。

交配をするつもりがないなら、オス犬とは絶対に近づけないようにすることが、この時期に一番気をつけることです。

出血量は減りますが、引き続きマナーパンツをつけておいたほうがいいでしょう。

犬の生理「発情後期」約2ヶ月の症状と対処法

排卵されてしまうと、発情期の終了で発情後期に入ります。

犬にとっては、体が妊娠していると同じ状況になるのが、この時期です。

一般的な哺乳類は、妊娠しなければ黄体ホルモンの分泌が止まりますが犬は長期間黄体ホルモンの分泌が続きます。

そのため偽妊娠(想像妊娠)と呼ばれる状態になります。

食欲不振が起きたり、乳腺が発達したり、乳汁が分泌されることもあり、巣づくりの真似事をすることもあります。

これは特に気にせず、自然にまかせておいて構いません。

一定期間が過ぎれば治まってしまいます。

もしあまり元気をなくしてしまったり、食事を受け付けなくなってしまったり、気になる症状が続けば受診をしてください。

犬の生理「無発情期」約4ヶ月~8ヶ月

発情後期が過ぎて、次の発情前期が始まるまでの期間で、体調も落ち着きます。

この時期の長さは個体差があり、小型犬と大型犬に差があるなど、次の発情前期がいつ来るのか、目安が分かりにくい犬もいます。

ホルモンが落ち着いた状態になり、避妊手術を受けた犬は一生、この無発情期と同じ状態にあると言っていいでしょう。

この時期には、発情期に関して、特に何かをしなければならないことはありません。

犬の生理中に気をつけること

 

生理が始まったメス犬のオシッコには、フェロモンが含まれています。

このフェロモンは半径2kmという広範囲に及ぶ威力があります。

それだけ遠方のオス犬まで刺激して興奮させてしまうので、この時期に散歩をさせるときには、未去勢のオス犬に配慮してあげてください。

その意味でも多くの犬が集まるドッグカフェやドッグランには、生理中は行かないことがマナーです。

実際にドッグカフェもドッグランも、ヒート中の犬はお断りとしています。

 

妊娠させてはいけないのなら、去勢していないオス犬には近づけないように気をつけてください。

出血が始まってから一ヶ月ほどは、妊娠の可能性がある期間です。

また生理中は、犬によってはイライラしたり体調が悪くなったりします。

食欲が落ちたり、嘔吐したりする犬もいます。

食べられるものを与えて、トッピングするなど工夫をしてあげてください。

散歩も嫌がることがあるので、その間は散歩を休止しても問題ありません。

体調面ではトリミングをしても問題はないのですが、未去勢のオス犬と一緒になる可能性を考えると、避けたほうがいいでしょう。

同じタイミングで去勢していないオス犬と一緒にはならなくても、その場に匂いを残してきてしまいます。

自宅でのシャンプーは避ける必要はありません。

ヒート中は犬も免疫力が低下して、感染を起こしやすくなる時なので、むしろ陰部をきれいにして清潔を保ってあげたほうがいいのです。

犬の生理で血はどんな様子か

犬の生理中、血はどんな様子になるでしょうか。

まず体の大きさで血液量が違ってきます。

大型犬は血液量が多く、小型犬は少ない傾向にあります。

舐めて自分で処理する犬が多いので、始まっていることに気づかないこともありますが、舐めない犬の場合は垂れ流してしまいます。

血の色は鮮血ではなく、空気に触れて赤黒く変色しているので、陰部や尿道から出血を伴う他の病気と、比較的区別がつきやすいものです。

もし鮮血で量も多すぎる場合には、血尿や子宮からの異常出血など、病気が隠されている可能性があるので、受診するようにしてください。

生理用パンツや紙おむつのメリットとデメリット

犬用のマナーパンツや紙おむつが売っているので、室内犬の場合にはそれを使うことが増えていますね。

メリットとしては部屋や飼い主さんの服を汚さずに済むということが一番です。

いくら犬が自分で舐めていても、やはり室内に血液がこびりつくのは、どうしても避けられるものではありません。

特に出血量が多い時期は、マナーパンツなどをつけておけば、汚れ防止に役立つでしょう。

デメリットとしては、これが高価で生理中にずっと使っていると、コスパが良くないという点です。

またガサガサしていることや異物感があることで、嫌がって外してしまう犬も少なくありません。

外してしまうだけならまだいいのですが、普段から誤食癖がある犬には、その際には注意してください。

トイレシーツを食べてしまう癖がある犬が、紙おむつも同じだと判断して、食べてしまう事故も起きています。

生理が来た犬に出産をさせたいと考える場合

 

最初の生理では犬は一歳未満です。

まだ犬の体が未熟なので、大きなリスクを伴うため、妊娠や出産は避けてください。

また個人が交配をさせて自宅で出産をさせることは非常に難しく、母体にも子犬にも安全とはいえません。

犬は安産といわれますが、実際に安産でどんどん生んで元気に過ごしているのは猫で、犬は難産になりやすい生き物です。

大切な愛犬のためにはあまりおすすめできません。

胎内の子犬の大きさによっては全身麻酔で帝王切開になったり、母子共に死亡したりすることもあるので、生理が来ても安易に交配を考えるのではなく、かかりつけの獣医さんに健康状態を相談の上で、計画的に進めてください。

生理が始まったら避妊手術を考えるほうがいい

 

最初の生理が来て、妊娠や出産を考えない場合には、早めの避妊手術をおすすめします。

子宮蓄膿症、乳腺腫瘍、卵巣腫瘍など、メス犬特有のかかりやすい病気があり、これは避妊手術をすることで、かなり高い確率で防ぐことができます。

子宮を摘出してしまうので、危険度の高い子宮蓄膿症や卵巣腫瘍に関しては安心できます。

早めの避妊手術をおすすめするのは、3歳までに避妊手術を行っているかどうかが、乳腺腫瘍の発病率と関わりがあるからです。

言いかえれば3歳以降まで何度か生理を繰り返している間に手術をしなければ、乳腺腫瘍の予防に関しては、あまり意味がなくなるとも言えます。

それならしなくても同じ、とは考えないでください。

子宮関係の病気を防ぐことには十分な効果があり、乳腺腫瘍を発症する可能性も低くなります。

犬の生理が始まるということは、メス犬としてのホルモンが活発になり、メス犬特有の病気にかかる可能性がグンと上がるということにもなるのです。

生理が来るということは自然なことですが、自然にまかせていた時代の犬は、そういった病気にかかりやすく、今よりもっと短命でした。

生理を繰り返すごとに負うリスクを考えて、避妊手術も積極的に考えてください。