愛犬の爪切りをしようとしても、嫌がってさせてくれないという悩んでいる飼い主さんは多いですね。
嫌がってしまう犬の爪切りをより安全にする方法や、対処法などを解説します。
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犬はそもそもどうして爪切りを嫌がるのかその理由は
犬は飼い主さんに触れられることに関しては、比較的従順ですが、本来の習性としては体の先端部に触れられることを嫌がる生き物です。
不意打ちで前足や後ろ足を触ろうとした場合、喜ぶ犬よりは反射的に引っ込める犬が一般的です。
特に狩りなどに必要な四肢は、絶対に怪我をしてはいけない部分なので、本能的に守ろうとします。
だから特に触られるのを嫌がり、それが爪切りをされることを嫌がるという行為にもつながるのです。
爪切りそのものを嫌がるというより、足先に触れられることを嫌がっているのですね。
我が家に十数年暮らしている犬はかなり従順で、体のどこを触ってもおとなしくしていますが、予告なしに手や足先を触ると反射的にひいて、すぐに申し訳なさそうな顔をしているので、これは犬の本能や反射行動と思ったほうがいいでしょう。
また以前の爪切りで、無理やり押さえつけられたなど、嫌な思いをした経験がある犬は、それを思い出して拒否をしていることも多いですね。
爪切りを嫌がる犬の爪を上手に切る方法
以前爪切りで嫌な思いをした犬の爪切り
爪切りに関してトラウマがあるために、爪切りを嫌がって拒否する犬がいます。
以前の爪切りで強引に押さえられて怖かったり、痛い思いをしたり、爪切りそのものが嫌いになってしまったケースですね。
そういった犬には、一度に全部の爪を切ろうとせず、まず爪を触って切る仕草を見せることからやり直してください。
それを嫌がらないようにさせるところから始めて、うまくいけばご褒美を与えます。
一本ずつゆっくり切るようにして、その都度ご褒美を与えて大げさに褒めるようにすると、爪切りをすればいいことがある、と犬も以前の恐怖心が少しずつ薄れていきます。
犬はもともと嫌な思いをしても、嬉しいことがあれば上書きをしやすい生き物です。
慎重な爪切りに、ご褒美と褒めるという行為をセットにして、トラウマを消し去りましょう。
お腹の下に手を通して抱っこの形をとってあげると、犬が安心しやすいでしょう。
じっとしていることが苦手な犬の爪切り
元気過ぎてじっとしていることが苦手な犬は、爪切りも大変ですね。
切ろうと思っても楽しそうに部屋中を逃げ回ってしまって、飼い主さんとの追いかけっこを楽しんでしまったり、捕まえるのもじっとさせているのも大変な犬も少なくありません。
そういった犬の爪を切るときに、無理に押さえつけてしまうと、爪切りが苦手になってしまいます。
では、どうすればじっとしていてくれるでしょうか。
動き回って大変な犬は、お腹の下からしっかり、でも優しく抱え込んで、なだめるように声をかけながら、時間をかけて落ち着かせてください。
なかなか落ち着かなければ、その日の爪切りはやめましょう。
日数をかけて一本の爪切りでもかまわないので、おとなしくなるタイミングで、少しずつ切ってください。
少しでもおとなしく、動きを止めたら、よしよし、と静かに褒めるようにしてください。
子犬のうちから飼い主さんのコマンドに従うよう、できるだけしつけるようにしてくださいね。
犬の爪切りに用意する道具
まず必要なのは、犬用爪切りです。
犬の爪切りはショップに行くと、ニッパータイプとギロチンタイプの二種類が売っています。
ギロチンタイプは輪の中に犬の爪を通して固定し、刃をスライドさせる爪切りですが、あまり力を入れずに切ることができるので、病院やトリミングサロンでも多く使われています。
ニッパータイプはハサミのようなタイプで、切れ味がいいため硬い爪を切るのに適しています。
慣れない人が自宅で安全に切るには、ギロチンタイプが使いやすいでしょう。
ヤスリも用意してください。
ヤスリは爪を切ったあとに表面を滑らかにするために使うものです。
そして万一切りすぎて出血させてしまった場合に備えて、止血剤を準備しておいてください。
犬をうまく保定する方法
犬の爪を安全に切るためなので、決まった保定の形というのは、特にありません。
犬が不安を感じないように、飼い主さんが体を密着させるのがいいでしょう。
背中から犬の体を抱え込むようにして、飼い主さんの胸やお腹をぴったりくっつけてあげてください。
その体勢で足首を押さえると、比較的安全に爪切りができます。
安全に犬の爪切りをする手順
手のひらの上に犬の指を乗せて、どこまで切るかを確認します。
これが犬が実際に立ったときと同じ形になりますね。
切る長さを確認したら、切っていく指をつまむように支えます。
一番上の飛び出ている爪の部分を斜めに切ります。
次に左右両側を切ります。
狼爪や後足も同じ手順で繰り返してください。
これでなめらかになれば、ヤスリは必要ありませんが、断面がとがっていれば、ヤスリをかけてください。
犬の爪はどこまで切るか
犬の爪には血管が通っています。
爪の色が犬によって違い、白い爪は血管が分かりやすいのですが、黒い爪は血管の位置が見えにくくなっています。
また爪それぞれで、血管の長さも違います。
血管を切らない程度まで、爪を切ってください。
白い爪の場合には、血管が通っていない場所を、数ミリ程度残すのが目安と思ってください。
黒い爪は血管が見えにくいので、爪がしっとりしてきて、爪を切った断面から白っぽい芯が見えたり、半透明になってきたりしたら、血管が近いと考えてください。
犬の爪切りで出血した場合の止血方法は
犬が嫌がって動いてしまったり、血管の場所を間違えて切りすぎてしまったり、犬の爪切りで出血してしまうことがあります。
犬の爪切りをするときには、必ず止血剤を準備しておきましょう。
血が出てしまった場合には、止血剤を染み込ませた清潔なガーゼで、出血している部分をしっかり押さえ、1~2分そのままにしましょう。
もし止血剤が手元にない場合には、ガーゼやティッシュで数分間、血が出ているところをしっかり押さえるようにしてください。
爪切りで、切りすぎたことでの出血は、それほど心配はいりませんが、血が止まらないときには、病院に連れていって処置を受けてください。
犬の爪切りで注意しておくポイント
飼い主さんも犬も、爪切りに慣れていない場合には、一度に全部切ってしまおう!と気負う必要はありません。
犬の爪は、外で毎日散歩をしていると自然にすり減っていくので、長すぎて犬が怪我をするなど支障が出ない限りは、慌てなくても大丈夫です。
地面につかない程度に、ゆっくり切ってください。
飼い主さんも犬も、爪切りに対してストレスが溜まると、お互い嫌になってしまいますね。
特に犬が爪切りを嫌がるようになるのが、長時間無理強いされることも理由のひとつなので、犬が嫌がらない程度に短時間で済ませることがポイントです。
犬が嫌がったり暴れたりしたらどう対処するか
犬は前足を触られることを嫌がる傾向があるので、前足を触って嫌がったときは、少しタイミングをずらして、後足からやり直しましょう。
あまり暴れるときにも、日をあらためたほうがいいでしょう。
犬が安心できるように、優しく声をかけながら、犬の背中に飼い主さんの胸を密着させるように保定して、落ち着かせましょう。
犬が嫌がって暴れる場合にはできれば一人ではなく、二人で爪切りをしたほうが安全です。
愛犬を背後から抱え込んで、爪切りを忘れるまで待って落ち着かせ、爪切りを見せないように、後足から切り始めましょう。
嫌がって暴れたら、怪我防止のために無理強いはせず、その日は中止してください。
爪切りはその日に全部しなければいけないわけではありません。
犬は飼い主さんを信頼しているので、飼い主さんのすることを全面的に嫌がることはありません。
怖くないことだと感じるように、ゆっくり爪切りを進めてください。
どうしても駄目なら、最初は自宅で爪切りをするのはやめて、爪切りそのものに慣れるまで、プロにまかせるのも一つの方法です。
犬の爪切りをする理由|どうして必要なのか
犬の爪の構造や特徴
犬の爪は二種類の角質層の中に、血管などの組織が通っています。
白、褐色、黒など、爪の色は犬によって違い、血管の色が見えやすい爪や、見えない爪などがあります。
犬の爪は人間と同じで、どんどん伸びていきます。
特に室内で長く過ごすことが多い犬は、地面との摩擦で爪がすり減る機会があまりありません。
犬の爪にはこのような特徴があります。
犬の爪切りをしないと起きてくること
もし犬の爪切りをせずに放置しておくと、伸びすぎてしまった爪が肉球に食い込むなど、思わぬ怪我をすることがあります。
また爪が地面につくことで滑りやすくなるので、転びやすくもなります。
フローリングのご家庭などが増えているので、滑ったり転んだりすることでの危険性が高いことは、ご存知の飼い主さんが多いことでしょう。
そして犬の爪の中には血管と神経がありますが、爪が伸びてくると、この血管と神経も一緒に伸びてきます。
伸びすぎてしまうと、これも病院で切らなければならなくなり、犬にとってはかなり痛い思いをすることになりますね。
定期的に爪を切ることで、怪我をしたり、血管や神経が無駄に伸びることを防いだりして、犬の四肢の安全を保つことができます。
犬の爪切りの頻度と目安はどれくらいか
犬の爪は地面で擦れることで、自然に丸みを帯びるため、人間のように頻繁に切る必要はありません。
小型犬や室内で過ごすことが多い犬の場合には、2週間に1度程度を目安にしてください。
大型犬など運動量が多い犬は、3週間から1ヶ月に1度程度と考えてください。
これはあくまでも目安で、頻度は愛犬の様子で判断してください。
地面や床の上を歩くときに、爪が当たってカチカチと音がするようになったら、地面について邪魔になっているので、爪切りをしてあげてください。
爪切りの機会に爪や指の病気もチェック
犬の爪をあまりじっくりと手にとってみるチャンスはありませんね。
犬の爪切りをするときが、犬の爪を観察するよい機会です。
爪に発症する病気もあるので、爪切りをしながら、何か病気にかかっていないか、チェックしておきましょう。
細菌性爪周囲炎
爪の根元に傷口ができることで菌が入り、炎症を起こす病気です。
人間でよく「ひょう疽」と呼ばれている病気なので、そうするとピンとくる方も多いのではないでしょうか。
原因の多くは爪が折れて出血することですが、指に何かが刺さることでも発症します。
マラセチアという菌が原因になることが多い病気です。
メラノーマ
皮膚にはメラニン細胞が含まれていますが、メラノーマはそれが悪性化して腫瘍になってしまう病気を指します。
片足の指一本に発症することが特徴です。
毛包虫症
ニキビダニ属の毛包虫が寄生することで起きる皮膚疾患です。
全身性や口周囲などもありますが、四肢性として指に表れたときには、爪の根元での脱毛や紅斑という症状になります。
その他、爪や指に表れる多くの病気がありますが、爪切りのときに爪や指に紅斑や瘤などの異常があれば、獣医さんの診察を受けるようにしてください。
爪切りが自分でできないときは動物病院やサロンへ
どうしても犬が嫌がって自宅では爪切りをさせない場合には、血管や指を傷つけてしまうなど、危険を伴う場合もあるので、プロにまかせたほうがいいでしょう。
特に爪切りが初めての犬や、逆に以前爪切りで嫌な思いをした犬は、爪切りに恐怖心を持ち、なかなか爪切りをさせてくれず、ただ嫌がるだけではなく、大暴れすることもあります。
飼い主さんが根気よく、優しい態度と言葉で落ち着かせることがコツですが、それでも臆病な犬や神経質な犬は、飼い主さんの手に負えないことがあります。
その場合には、手慣れている動物病院やトリミングサロンにまかせたほうが安全です。
犬の爪切りの値段相場は、平均して1,000円前後でそれほど高くはありません。
どうしても自分でするのは無理だと判断したら、プロの手に委ねましょう